前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
病院に着くと、そこは3階建ての綺麗な産婦人科だった。

病院に入り、受付の女性に声を掛けた。
「あの、星部綾奈の子供の父親ですが…妻に合わせていただけますか?」
「…少々お待ちいただけますでしょうか。確認致します」
その女性は、席を外し、しばらくすると、看護師さんを連れて戻って来た。
「こちらに、そのような方は入院されていませんが…」
「ここに入院していることは、間違いありません」
「申し訳ありません。お引き取りください」

頭を下げる看護師さんを、これ以上問い詰めて、困らせても申し訳ない。
でも、富田さんの情報に間違いはない。
それに、俺はここで引くわけにはいかない。

「…そうですか。では、会ってくれるまで、外で待っていると…それだけ伝えて下さい。それとこれを…」

こうなることは分かっていた。
綾奈は、俺が深夜に帰る時は、いつもキッチンにメモを残してくれていた。
可愛い向日葵のメモ帳。

『愛する綾奈へ 綾奈と2人の愛する子供を、守り続けるよ。許してくれるまで、待っている」

家を出る時、そのメモ帳に俺の気持ちを書き、封筒に入れて来た。

「ですから、そんな人はいませんと…」
「お願いします」
俺は封筒と名刺をその人に渡し、「宜しくお願いします」と頭を下げ、外に出た。

雨がシトシトと降る中、病院の窓を見渡した。
ひと目でいい。
綾奈、君に会いたい。
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