前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
そして、俺の名前を書いた婚姻届を、綾奈に見せた。
びっくりしている綾奈に、
「今日、出しに行くよ」
とペンを渡した。

綾奈は、名前を書こうとすると、
「あれっ…手が震えて…書けない」
書く手が止まり、まだ空白のままだ。

緊張してるのか…
また、余計な心配をしているんだろう。
不安を取り除くには…

「綾奈?もしかして嫌なのか?俺はこんなに愛してるのに、本当は妻になりたくないのか…そうか…俺だけが、綾奈のことを」
「そんな事はないです!」
「名前を書いたら、俺から離れられない…躊躇してるんだろ?選択肢は1つだと言った自分が、恥ずかしいよ」
「そんな事ありません!私の選択肢は1つです!北斗さんの妻は、私しかいませんから!」
怒った綾奈は、スラスラと婚姻届に署名をした。

「これで成立だ。ママの言葉聞いたよな?」
俺が息子に話しかけると、
「もぉ!北斗さんは、やっぱり意地悪です!」
綾奈は頬を膨らませた後、満面な笑みをみせた。
「その笑顔が、ずっと見たかった」
久々に抱きしめた綾奈の温もりに癒される。

さぁ…遅くなったが、準備開始だ。

「綾奈、俺は一旦帰るが、用が済んだら、また来るから。ゆっくり休めよ」
「はい、待ってます」

俺は病院を後にし、目的地へ車を走らせた。
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