前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
「あと、もう1つ、綾奈の胸にある星形の痣は、とても不思議な力が宿っているように思うのですが…何かご存じではありませんか?」

2人は、しばらく口を噤んでいたが、顔を合わせて頷くと、重厚感ある箱を戸棚から出して、中にある巻物と絵を見せてくれた。

「星部家は、遙か昔、巫女として仕えていました。巫女が舞うと、心が浄化されたそうです。癒やしの力、星形の痣は、女の子だけに受け継がれた力でした」
絵には、星形が描かれてあり、横に書いている文字は分からない。

「時が経ち、その力で、星部家は領主となりました。しかし、その頃から、力が受け継がれなくなり、ひっそりと暮らし始めました。ところが、覚醒遺伝で、私の娘に痣が現れ、それを綾奈が引き継いだようです」

厳しい顔をした2人。きっと、綾奈を心配してきたのだろう。
そして、ずっと守ってきたんだ。
「綾奈はあの性格です。人に知れたらきっと利用されてしまう。だから、本人にも隠して来ました。よくお分かりになりましたね」
「実は、私も力を受け継ぐ者でして。その力は、もう子供に受け継がれましたが」
「それは、ご苦労されましたね」
「宇河さんが家族になれば、綾奈が知っても大丈夫でしょう。あの子に、痣の力と、それは母親から受け継いだ愛情の印だと、教えてあげてください」
「はい。では、私はこれで失礼します」
< 85 / 112 >

この作品をシェア

pagetop