前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
「俺がしばらく、仕事を調整して、家事も子供の面倒も見るって言ったのに、自分がしたいって聞かなくてな」
「自分だけズルいわよ!私だって、綾奈さんの力になりたいのよ」
「俺の綾奈と息子だ!それに、母さんが来ると、綾奈だけじゃなく、俺が疲れる」
「あの…お2人とも落ち着いて…」
2人が睨み合っていると、お母様の携帯が鳴り、画面を見る事なく、電話を取った。

「もしもし…あら、あなた?…えぇ…分かりました。チケットを取って、直ぐに向かいます」
不機嫌そうに電話を切ると、
「北斗、手を回したわね」
お母様は、北斗さんを睨みながら、腕組みをした。

「何のことだか」
「分かったわよ。綾奈さん、落ち着いたら、遠慮せずに家にいらしてね。北斗は来なくていいから」
「行く時は、俺も一緒だ」
「全く…生意気なのは誰に似たのかしら。綾奈さん、無理しないようにね。何でも、北斗にさせなさい」
「早く帰れよ。パリに行くんだろ?」
「えぇ、行ってくるわ」
お母様は、母の顔から、キリッとした顔つきになって、サングラスを掛けて出て行った。

「はぁ…3人家族として、この家に帰って来たのに、台無しだな」
「会長はもちろん、素敵なお母様で、私、幸せです。受け入れられずに、厳しくされると覚悟してましたから」
「覚悟はいるだろ、あんな母親だから。でも、本当に綾奈のことを心配してるし、子供が産まれたことを知った時は、泣いて喜んでたからね」
「私達もお2人のように、いつまでも信頼し合う夫婦でいたいです」
「綾奈…久々にこの家に帰って来て、俺を熱くする言葉を言うな。もうしばらく抱くのを我慢するんだから」
大きな手で頭を撫でる北斗さんは、変わらずカッコいい。

「でも、キスくらいはいいよな」
北斗さんの顔が近づくと、星也が泣き出した。
「そろそろ、母乳の時間です」
「それは、悪かったね、星也」
北斗さんの腕の中で泣く星也に、優しく微笑む姿は、すっかり甘々パパだ。

授乳の様子を星也に触れながら、愛おしそうに見守る北斗さん。
終わると星也を抱いて、寝かしつけていた。

北斗さんは、星也のことに何も触れないけど…
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