前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
「北斗さん…星也の目のことなんですが…」
宇河家の力を受け継げば、右の目の色が違う。
でも、星也の目の色は、両方ともブラウンだった。

北斗さんのようにオーラが見えるのは、数百年に1度と言われているから、その力も無い。
星也は、宇河家の力を受け継がなかった。

「良かったよ、力が受け継がれなくて。もう、宇河家は力が無くても、経営上問題ない。俺が最後でいいさ」

星也が産まれたと同時に、左目と同じ色になった北斗さんの右目は、薄らだけど、七色に戻り始め、オーラが見える力も戻りつつある。
目の色が戻るのは、初めてのことらしい。

「その代わり、この子は女の子に受け継がれる、星部家の力を宿した星形の痣がある。きっと、綾奈のように優しい子に育つだろう。綾奈、おいで」
星也を抱いたまま、片手を広げる北斗さんに近づくと、私も包み込んでくれた。

「この命ある限り、家族を守り抜くよ」
温かい北斗さんの腕の中と、スヤスヤと眠る星也。

1人で育てる覚悟をしてから、不安だった毎日。
無事に産まれるように、近くのお寺へ、1人で帯祝いの安産祈願に行った。
お腹の中で星也が元気に動く幸せ。
何度も北斗さんに見て欲しいって思った。
陣痛が来た時、痛みが強くなるにつれて、寂しくて、怖くて仕方無かった。

でも…
こうやって北斗さんの腕の中に、戻ってくることが出来た。
「はい、お願いします」
私を抱きしめる力が強くなる安堵感に包まれて、幸せを噛み締めた。
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