前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
さてと…
先日、介護ロボット、テクノロジー導入の支援が出来るように、提携会社の企業を募ったが…

その中心となる企業を決める時に、開発部長が、
「大木製作所と吉田製造とは、比べものになりませんね。会社の規模も、考え方も当社に合うのは吉田製造です。社長もなかなかのやり手ですし、決まりですね」
と切り出した。

昔は父さんと一緒に、利益だけを求めず、先見の明があったが、今では、安泰を求めてしまっている。
目を覚ましてもらうか…

「いえ、大木製作所に任せます。課長、資金がどれくらい必要か、大木社長と打ち合わせをして、全面協力の体制を整えてください」
「承知しました」
開発課長は、頭を下げ、部屋を出ていった。
「しゃ、社長!それは危険では?」
「私が今まで間違った判断を、したことはありますか?」
「い、いえ…ありません」
「この件は、開発課長に任せます」
「えっ?」
部長は眉をひそめ、顔が赤らむ。

目先の欲に目が眩み、秘めた技術力、将来性を見抜けない管理職が、大切な人財を育てることなんて、出来るはずない。

彼も、父さんが社長の頃は、赤のオーラを纏っていたが、俺に変わってから、段々とその色にグレーや黒が混じり出した。
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