前世の約束〜神の目を持つ敏腕社長は、純白オーラの秘書を慈しむ
【癒やしの力は、嫉妬を招く】
「綾奈、役員室に行って来るよ。星也は?」
「今、寝てます。もうすぐ起きると思いますが…」
「そうか。直ぐに戻って来るから、星也を頼むよ」
北斗さんは、星也の寝顔を見ていた。

先日、忙しくする北斗さんに、
「星也は大人しいですし、もうそろそろ、昼間は家で、1人でも見れますから」
そう言っても、
「家も、ここもそう変わらないだろ?」
と、少しでも時間があれば、星也の世話をしている。
星也用ルームは、「ここはもう少し…」と、段々レベルアップしていった。

星也を抱っこしながら、パソコンに向かって仕事をしたり、寝かしつけながら、書類に目を通すのは、星也が産まれてから変わらない。

「俺、綾奈以外に、こんな感情を抱く存在は現れないと思ったけど、自分の子供がこんなに愛しいなんて、想像出来なかった」
私も、ここまで甘々パパになるなんて、想像出来なかったですよ…
私がクスッと笑うと、
「ん?何だ?」
「パパになっても大好きです、北斗さん」
「今、そのセリフを言うなよ」
かがんで私にキスをすると、そのまま部屋を出て行った。

それから直ぐに、受付から秘書室に内線が入った。
「霞条忠様が、アポ無しですが、社長を訪ねてお見えです」

霞条様…あれ以来だ。
「通して下さい」
霞条様とあったあの日、私は北斗さんとの別れを決めた。
でも、今は幸せに暮らしている。
それに、別れたのは霞条様が悪いわけじゃないから…
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