国宝級オルガニストは初恋の彼女に甘く口づける
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どうしてなの。
蕾羅はいらいらとステージをにらむ。
どうしてコンサートが成功して、あいつがプロポーズされているの。
拍手が鳴りやまない中、蕾羅は席を立った。
あいつは昔から目障りだった。
転校したてのころ、蕾羅はGW前にクラスメイトに自慢した。海外に家族で旅行に行くの。
だが、父親の仕事の都合でそれは果たされなかった。
仕方なく、学校では海外に行ったふりをした。
自慢げに話して、賛辞をもらっていたときだった。
「いいなあ。私なんて家族ででかけたのは車で一時間の湖だけだよ」
律華に言われ、かちんと来た。自分は家族旅行ができなかったのに、こいつは。
それ以来、律華に正義の制裁を加えた。
転校前の私立小学校でも同じようにクラスメイトに制裁した。そいつは卑怯だから先生に言いつけ、問題になってしまった。それで学校を追い出された。
律華への制裁もいじめと呼ばれて先生に注意された。
悪いのはあいつなのに、どうして自分を責めるのか。
今回だってそうだ。
神様は不公平だ。がんばっている私にひどい仕打ちをして、なにも努力をしていない、むしろ私を傷付けるあいつだけに幸運を与える。