御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
私は愛されるということを知らない。


私は物事ついた頃から母親からは言葉の暴力を受け、父親からは毎日のように殴られた。時にはタバコの火を腕に押し当てられたこともある。


高校生の頃には身体中がアザだらけであちこちに傷が残っていた。助けてくれる人なんていなかった。何故なら学校でも同じだったから。クラスメイトからはイジメられ、男子は見て見ぬふりをしていた。


教師はイジメの事実を隠すように私から目を逸らしつつも、陰では助けるフリをして私と二人きりになれば襲おうとしていた。幸い、未遂で済み、私は処女のまま社会人となった。


市役所に勤めて、普通にクレーム対応や書類作成など単調な仕事をしていた。が、社会に出てもイジメはなくならないもので……。


「あんた、使えないのよ」

「上司に色目使うとか何様?」

「副業でパパ活してるとか気持ち悪い〜」


「……」


私が休憩していると同僚は寄って集って私を罵倒してきた。もちろん、上司に色目を使ったことは一度だってないし、パパ活なんてしたことがない。全て彼女たちが流した悪いウワサだ。


だが、ウワサというものは怖い。あたかも真実かのように私の意思とは関係無しに広がっていくのだから。そのせいで会社でも私の居場所はなかった。


上司からのセクハラは当たり前。残業と称して男性の同僚と二人になったところをスマホのカメラで撮られ、会社で如何わしいことをしていると翌日にはウワサされた。


男性は守ってくれるどころか「俺を巻き込むな!」と私が加害者かのように責め立てた。私は被害者なはずなのに……おかしな話よね。
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