御曹司は不遇な彼女に本物の愛を注ぐ
「そりゃあ屋上から飛び降りたくもなるわな」

「ちょっ……」


ワシャワシャと髪を撫でられ、さっきとは打って変わって乱雑な手つき。


お互い年齢は知らないはずなのに神宮寺さんは私にタメ口だし。よく言えばフレンドリー。悪く言えば雑な人だ。


「露川。これもなにかの縁だし、俺のとこに住まないか?」

「……え?」


聞き間違いだろうか。神宮寺さんの家に住む?


出会ったばかりの男性宅に?いくら神宮寺さんが二度見するほどイケメンだからって、そんなの急すぎる。


「部屋は余ってるから俺と寝なくていい。ただ食事だけは一緒にしようぜ。恥ずかしい話、三十三にもなって独身なんだよ」

「は、はぁ……」


えらくフラットに誘ってくるんだなぁ。神宮寺さんほどのイケメンなら合コンや婚活パーティーに行けばすぐにでも結婚出来そうな見た目をしてるのに。


三十三歳、か。私よりも三歳も年上だ。社会人になってから三歳差なんてもはや誤差のようなものだけど。
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