気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
広間の奥に用意された檀上に現れたのは、非常に見目麗しいふたりの男性だった。
施設の関係者というよりは、このセレモニーを盛り上げるために招かれた俳優か、モデルのように思える。
「――嘘」
声が聞こえて隣を見ると、円香が大きな目を丸く見開いていた。
「どうしたの?」
周囲の迷惑にならないよう声をひそめて尋ねるも、円香は信じられないものを見る目で壇上のほうを向いたまま、ゆるゆると首を左右に振っている。
体調不良などではないらしい――と思った私の耳に、極上の天鵞絨(ビロード)を思わせる快い声が届いた。
「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。株式会社ウェヌスクラース、代表取締役の水無月(みなづき)志信(しのぶ)と申します。よろしくお願いいたします」
一度見たらすぐには忘れられそうにない、人を惹きつける雰囲気の人だと思った。
施設の関係者というよりは、このセレモニーを盛り上げるために招かれた俳優か、モデルのように思える。
「――嘘」
声が聞こえて隣を見ると、円香が大きな目を丸く見開いていた。
「どうしたの?」
周囲の迷惑にならないよう声をひそめて尋ねるも、円香は信じられないものを見る目で壇上のほうを向いたまま、ゆるゆると首を左右に振っている。
体調不良などではないらしい――と思った私の耳に、極上の天鵞絨(ビロード)を思わせる快い声が届いた。
「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。株式会社ウェヌスクラース、代表取締役の水無月(みなづき)志信(しのぶ)と申します。よろしくお願いいたします」
一度見たらすぐには忘れられそうにない、人を惹きつける雰囲気の人だと思った。