気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「ひどいな。お前だって結婚して変わったと思っているのに」

「俺は――。……俺の話はどうでもいい」

「そうか? じゃあ相談に乗ってやるのはやめておく」

「いつ俺が相談したいと言った?」

 とげとげしい態度で噛みついてくる藍斗に、肩をすくめて応える。

「恋愛は難しい。認めよう。俺にもようやくわかった」

「なにを言い出すかと思えば……」

「優陽は今まで出会ったことがない女性だ。彼女と出会えたのもお前のおかげだな」

「勝手に俺のおかげにするな」

 不機嫌そうに言っていても、藍斗は部屋を出て行こうとしない。

「初めて出会った時から、なにか違うと思っていたんだろう? 嫌になるくらい聞いた。もう聞きたくない」

「お前以外に話せる相手がいないんだ。少しくらい付き合ってくれ」

「うるさい。毎日のように聞かされる身にもなれ」

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