気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「毎日なんて大げさだな。そんなに頻繁に会えるほど暇じゃないくせに」

 プレザントリゾートの開発には俺も関わっているが、主だった運営は藍斗の仕事だ。

 オープンした今、俺は藍斗のサポートに徹している。

「どうでもいい。俺の前でのろけるな」

「のろけ? そういうつもりはなかったな。ただ、優陽を見ているとこの辺りが温かくなるという話をしているだけだから」

 そう言って自分の胸に手を当てる。

「のろけているつもりがない? これだから恋愛経験のない奴は」

「ふうん。まるで自分は恋愛上級者みたいに言うじゃないか」

 あまり品がいいとは言えない舌打ちが聞こえて、少し笑ってしまう。

 人前では上流階級の人間らしく振る舞うくせに、俺の前ではいつもこうだ。

 だけどたぶん、藍斗の素を見られるのは彼が妻と呼んでいる人だけだと思っている。

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