気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
水無月社長に比べると、ずいぶん固い声の人だった。彼もたしか三十二歳だったはずだ。
少し癖のある黒髪は青みがかっていて、水無月社長とは対照的な無表情から冷たい印象を受ける。
あの切れ長の瞳で見られたら、きっと睨まれたように感じるだろう。同じ社長でもふたりは穏やかな春の木漏れ日と、冬の拒絶的な凩(こがらし)ほど印象が違う。
「ねえ、円香」
呼びかけると、円香ははっとしてこちらを見た。
「どうかしたの?」
「あー……ううん、ちょっと知ってる人に似てたからびっくりしちゃった。私の知り合いになるような人が、こんなところにいるはずないのにね」
円香の視線の先には、水無月社長と筑波社長の姿がある。
よほど知り合いに似ているのだろうか。
円香は、壇上のふたりをじっと見つめていた。
その様子が気になって私もそちらへ目を向けると、不意に筑波社長がこちらを見た気がした。
少し癖のある黒髪は青みがかっていて、水無月社長とは対照的な無表情から冷たい印象を受ける。
あの切れ長の瞳で見られたら、きっと睨まれたように感じるだろう。同じ社長でもふたりは穏やかな春の木漏れ日と、冬の拒絶的な凩(こがらし)ほど印象が違う。
「ねえ、円香」
呼びかけると、円香ははっとしてこちらを見た。
「どうかしたの?」
「あー……ううん、ちょっと知ってる人に似てたからびっくりしちゃった。私の知り合いになるような人が、こんなところにいるはずないのにね」
円香の視線の先には、水無月社長と筑波社長の姿がある。
よほど知り合いに似ているのだろうか。
円香は、壇上のふたりをじっと見つめていた。
その様子が気になって私もそちらへ目を向けると、不意に筑波社長がこちらを見た気がした。