気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 簡単に買えるような値段ではないし、平日の夜にふらっと現れて見るようなブランドではない。

「外の広告を見たんですが、実物を見せていただいても?」

 ここに来たのは、車の中から見えた美しいネックレスが理由だった。

「はい、ただいまご用意いたしますね。おかけになってお待ちください」

 低いカウンターの前にある椅子に腰を下ろし、手もとのテーブルに視線を落とす。

 ガラスのテーブルは中が空洞になっており、そこに指輪やブレスレットといったアクセサリーが並んでいた。

 どれも美しいが、優陽には少し派手だと思う。

「お待たせいたしました」

 女性のスタッフがやってきて、俺の前で箱を開ける。

 広告にあったネックレスは、実物のほうがずっと美しかった。

 小粒のダイヤモンドが十粒連なっているだけのそれは、非常にシンプルだ。

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