気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 早くプレゼントを渡したい気持ちが強くなって、置いてあった箱を手もとに引き寄せた。

「片付けの前に渡しておく。君に似合うと思ったんだ」

「なに……?」

 箱を受け取った優陽が首をかしげて蓋を開いた。

 小粒のダイヤモンドが連なるネックレスを確認した瞬間、彼女の目が驚きに見開かれる。

「え、と……ありがとう……?」

 おや、と思って改めて優陽を見ると、なんとも言えない困った顔をしている。

 その表情は俺の予想になかった。

「好きなデザインじゃなかったか?」

「ううん、そうじゃなくて……。どうして急に?」

「君に贈りたいと思ったから」

 過去に付き合った女性たちのように『渡す必要があるから』ではなく、純粋に彼女がどんな顔を見せてくれるか知りたくて贈った。

 それなのに優陽は戸惑いと困惑を顔に浮かべている。

「今日は私の誕生日じゃないよ」

「もちろん知っている」

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