気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

　料理以外の家事もこなしているとはいえ、この生活を受け入れて許されるだけの成果を出しているとはとても思えなかった。

　本当にこれでいいんだろうかと小さな不安がないわけでもなかったところに、このプレゼントだ。

　どうして彼は、契約妻でしかない私にここまでしてくれるのだろう？

「はい、お茶。火傷には気をつけろよ」

　戻ってきた志信さんが私の前にお茶を置いてくれる。

「ありがとう。飲んだらネックレスを付けてみるね」

「……ん」

　短い返事からは彼がなにを考えているのかが読み取れない。

　私は本当にあのネックレスを受け取ってしまっていいのだろうか？

　だって、こんなに甘やかされる理由が思いつかないのだ。

　なにか裏があると言われたほうがよっぽど安心する。

「今まで、こういうプレゼントをもらった経験はあるのか？」