気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

　探るような言い方からは、志信さんがどういう意図でそんな質問をしたのかが読み取れない。

「……あるよ。高校の頃に」

　彼もまた、私になにかとプレゼントをしたがった。

　私の喜ぶ顔が見たいとか、似合うと思ったとか、そんな理由に喜んでいたけれど、事実は残酷だった。

　私へのプレゼントと言っていたそれは、彼がほかの子に――浮気相手に渡して断られたものばかりだったのだ。

　その時、私こそが浮気相手で本命は別にいたと知ってしまった。

　話を聞いた円香が怒り狂い、公衆の面前で彼の悪行を暴露して、残りの高校生活が台無しになるまで追い詰めたのは、今となっては笑い話である。

　その経験を経て私は恋愛に対して臆病になり、円香は私に恋愛の話をしなくなった。

「でも、こんなに立派なプレゼントは初めて」

「気に入らないなら、そう言ってくれ。すぐに別のものを用意する」