気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

　きっと志信さんなりの気遣いだとわかっていても、やっぱり戸惑いが拭えない。

　そこまでして私にプレゼントをする理由が思いつかないからだ。

　もしかして好意を抱いてくれているんだろうか――なんて期待しそうになった自分を慌てて押し込める。

　契約結婚を提案したのは志信さんだ。誰よりも私たちの間に恋愛感情がないことをよくわかっているはず。

　だから私も期待してはいけないのだ。

　単なるプレゼントだと知ったら悲しくなるし、少しでも好意があるとわかったら――胸の奥でくすぶっている気持ちが強くなってしまう。

「誤解させちゃってるかも。ごめんなさい。あんまり立派なものだからびっくりしただけなの。本当だよ」

　とりあえず、もらってうれしくないわけではないことを伝えようと必死になる。

「このネックレスにぴったりの服も探さなきゃね」