気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「世の中にはそっくりさんが三人いるらしいよ。そういうことなのかも」

「……かな?」

 ようやく円香の顔に余裕が戻ってきて、見慣れた笑みが口もとに浮かんだ。

 それを見て私もほっと肩の力を抜く。

「ぼんやりしちゃってごめん。せっかくだし、あちこち見に行こうか」

「うん。どこから行く?」

「さっき説明してた庭園は気になるよね。今はライトアップされてるらしいし」

「えっ、聞き逃したかも!」

 よほど知り合いのそっくりさんが気になっていたらしい。

 苦笑しながら、開会式でスタッフが話していた内容を軽く共有する。

「すごく大きい庭園みたいだよ。気をつけないと迷子になっちゃうくらい」

「そんなに? 夜に出かけたら戻ってこられなくなりそう。ちゃんと私の手を繋いでいてね。迷子になる時はふたり一緒だよ」

「そこは迷子にならないようにしよう、じゃないの?」

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