気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「それだけだと言われると答えにくいが、根本的な考え方はそうだ」

「それにしてはいろいろしすぎだよ」

 私室を整えてくれたり、調理器具を用意してくれたり、そういうのはきっと私の中ではまだギリギリ許容範囲だった。

 かといって引っかかるものがなかったわけではなくて、ずっと解決されない疑問として胸の内にあったのだと思う。

 表面化したのは、あのプレゼントがきっかけだ。

「ネックレスも……うれしかったけど、わからなかった。どうしてこんな高価なものをくれるんだろうって」

「……君がどんな反応をするのか見たかったんだ」

 プレゼントされた時もそんなようなことを言っていたのは覚えている。

 だけど私には、それのなにが楽しいのかがわからない。

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