気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 答えてから、円香は私の存在を思い出したようにこちらを見た。

「そっくりさんじゃなくて、本人だったみたい」

「え……。じゃあ、筑波社長とお知り合いってこと……?」

「私が知ってる人はそんなご立派な人じゃなかったんだけどね」

 軽く言っているように見えて、彼女の言葉の端々から緊張を感じる。

 長年の付き合いがある私じゃなかったら、気づかなかったかもしれない。

「……招待状もあなただったんだね。おかげさまで親友とおしゃれできたよ。ありがとう」

「招待状?」

 筑波社長の眉が疑問を訴えるように寄る。

 彼は私のほうをちらりと見ると、円香の手首を掴んだ。

「ちょっと」

「話がある。……お前もそうじゃないのか」

 ふう、と円香が息を吐いて筑波社長の手を解く。

「ごめん、優陽。旧交を温めてきたほうがいいみたい」

「ううん、気にしないで。適当に見て回っておくから」

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