気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
水無月社長の低い声で呼ばれただけで、まさかこんなにも甘くやわらかい魅力的な響きに変わるなんて。
胸のときめきが無意識に動きに反映されたのか、緩く巻いた紅茶色の髪が肩の近くでゆるりと揺れた。
「遠慮しないでいい。どうぞ」
そう言って、彼は差し出したままの手を再度私に示して見せる。
私からすれば天上の世界の人間にもふさわしい、上流階級の人――なのに。
いつから私が慣れないヒールを歩きづらく思っていたことに気づいていたのだろう。
そうでなければ、階段を下りるだけなのに手を貸そうとするはずがない。
なぜこんな状況になっているかというと、一緒にオープニングセレモニーに来た親友の三堂(みどう)円香(まどか)が諸事情でいなくなってしまったからだ。
「本当に……いいん、ですか?」
胸のときめきが無意識に動きに反映されたのか、緩く巻いた紅茶色の髪が肩の近くでゆるりと揺れた。
「遠慮しないでいい。どうぞ」
そう言って、彼は差し出したままの手を再度私に示して見せる。
私からすれば天上の世界の人間にもふさわしい、上流階級の人――なのに。
いつから私が慣れないヒールを歩きづらく思っていたことに気づいていたのだろう。
そうでなければ、階段を下りるだけなのに手を貸そうとするはずがない。
なぜこんな状況になっているかというと、一緒にオープニングセレモニーに来た親友の三堂(みどう)円香(まどか)が諸事情でいなくなってしまったからだ。
「本当に……いいん、ですか?」