気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 突っ込んで聞くべきかどうか悩んでいると、筑波社長が背の高い男性を引き連れて戻ってきた。

 案内役と言っていたから、てっきりスタッフだろうと思っていたのに、その顔を確認してぎょっとする。

「後は頼んだ」

「頼んだって、お前な」

 筑波社長が連れてきたのは、水無月社長だった。

「も、もしかして案内役というのは……」

「どうやら俺のことを言っているらしいな」

 私と同じくらい、水無月社長も困っている様子だった。

 申し訳なくて慌てて首を左右に振る。

「お忙しいのに私の相手なんて」

「もうセレモニーは終わった。俺たちの役目は終わりだ。そうだろう、志信」

「……お前は言い出したら聞かないからな。わかった、彼女のことは俺が引き受けよう」

 そんな、と声を上げるも黙殺される。

 咄嗟に円香を見ると、申し訳なさそうな顔で両手を合わせていた。

「行くぞ、円香」

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