気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
契約の終わり。そして始まり
 あのデートの日を境に、私たちの距離は明らかに縮まった。

 さすがに毎日一緒に寝るようなことはないけれど、週に一度は寝室の広いベッドで眠る。

 手を繋ぐだけの日もあったし、肌を重ねる日もあった。

 お互いを尊重した同棲生活は心地よく、過ぎていく日々が惜しくなるほどだった。

 そんなある日、志信さんが用事でいない休日を過ごしていた私のもとに、知らない番号からの電話があった。

「もしも――」

『優陽? 俺だよ、宗吾』

 通話時のノイズが混ざった声を聞いて息をのむ。

 いつもなら知らない番号からの電話になど出ないのに、たまたま手もとにスマホがあったせいで咄嗟に応じてしまった。

「……どうして私の番号を知ってるの?」

『おじさんとおばさんに教えてもらったんだよ。こっちに帰ってきたし、久々に連絡取りたいんだけど前の番号しか知らないって』

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