気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
『俺も、お前に会えるのを楽しみにしてるよ』

「……じゃあね」

 電話を切った後もしばらくその場から動けなかった。

 まるで私を自分のもののように扱う彼には、なるべく会いたくない。

 だけど祖母のことは気になるし、せっかく集まる日を決めているらしいのにあえて別日に顔を出すのは気まずかった。

 含みのある態度だと思われてしまったら、両親にだって迷惑がかかる。

「……とりあえずお母さんに電話して、それから考えよう」



 三連休の中日に祖母宅へお邪魔した。

 結局、どうやって宗吾くんを避けて祖母に会いに行くか、うまい方法が見つからなかった。

 畑に囲まれた広い一軒家は、親戚で集まることを想定したとしか思えない広い和室がある。まるで旅館の宴会場のようだ。

 そこに今日呼ばれた人々が集まっていた。

「おばあちゃん、久しぶり。怪我したって聞いたけど、大丈夫?」

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