気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 私も私で、どう彼らに馴染んでいいかわからなかったから、こんな気まずい立ち位置に落ち着いてしまった。

 彼らからすれば、宗吾くんは扱いに困る人間と積極的に関わろうとする〝いい人〟だろう。

 もし彼が私の身体を触ったり、祖母の家に泊まる際、布団の中に勝手に入ってきたり、間違えたふりをして浴室に入ってきたりしなかったら、私もそう思えていたかもしれない。

「子どもっていうか、妹みたいなものだと思ってるから。……いや、妹よりはもう少しアレだな」

 見ないようにしていた宗吾くんの視線が、私の顔から胸もとへ移る。

 身を乗り出そうとする気配を感じて、さりげなく引いた。

「あー、もうみんな集まってる! ごめんねえ、おばあちゃん! 遅くなっちゃった」

 玄関のほうから聞こえた声にほっとして立ち上がる。

 廊下を通って迎えに行くと、来たばかりなのに顔に疲労を浮かべた両親がいた。

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