気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「はい、お願いします」

「そう堅苦しくならなくても。気楽にしてくれ」

 そう言われたところで、素直にうなずけるはずもない。

 私からすれば水無月社長は雲の上の存在で、今日のような機会がなければ一生かかわらない世界の人だ。

 恐縮しつつ、歩き出した彼の後をついていった。



 プレザントリゾートは三つのエリアに区切られているらしかった。

 オープニングセレモニーを行ったホテルは、そのままずばりホテルエリアと呼ばれていて、ほかにテーマパークエリアとリゾートエリアがある。

 水無月社長はまず、ホテルの中を案内してくれた。

 多くの人々が出入りするエントランスや、地下一階から三階まで占めるショップゾーン。

 ほかにも全部で三店舗あるレストランやバー、フィットネスジムやスパ、リラクゼーションルームまで紹介してもらった。

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