気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 父の驚いた声に、母も「嘘ぉ」と口で手を覆う。

「知ってます知ってます。テレビで見ましたよ。プレザントリゾート! お父さんといつか行きたいねって言っていたの。まさか優陽ちゃんの旦那さんだなんて」

 両親には結婚したばかりの頃、この結婚には事情があることを説明している。

 だからか、父は複雑そうな顔をしているけれど、母は完全に忘れているようだ。

 きらきらした目ではしゃぐ姿に少し恥ずかしさを覚えて、やんわりなだめる。

「お母さん、詳しくはまた今度に……」

「どうして教えてくれなかったの? お父さんとずっと心配してたんだから」

「いい人って言ったでしょ」

 唇を尖らせている母の相手をしている間に、父が志信さんを見上げる。

 父も背が高い人だと思っていたけれど、志信さんはそれ以上だ。

「娘から事情は聞いています」

「え?」

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