気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「そうですね。ですが、以前より確実に手紙の数が増えています」

 相手は妙に悪知恵が働くようで、各地の住所からあの手この手で手紙を送ってきていた。

 おそらく人を使って、全国から郵送されるようにしているのだろう。おかげで主犯となる人物がどこにいるのか特定できずにいる。

 警察には話をしているが、もっと大きな実害がない限りは積極的に動く気がないようだった。たしかに現時点ではいたずらとしか言えず、こちら側からも行動しづらい。

「このまま放っておけば、ますますエスカレートするのではないかと。うちのライバル会社がこんな馬鹿な真似をするとは思えませんし、個人的な怨恨の線が見られます」

 淡々と言いながら、魅上は新しく届いた一通の手紙を広げて見せた。

「それに今日届いた手紙の内容を考えると、早急に対応する必要があると思われます」

「これは……」

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