気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 魅上によって一度中身を確認された手紙には、優陽の写真があった。

 隠し撮りなのだろう。画質は荒く、優陽の視線も明後日を向いている。

「最近のものだ」

「え? そうなのですか?」

「このイヤリングを贈ったのはついこの間だからな」

 写真の優陽は記憶に新しいイヤリングをつけていた。

「最近の写真でしたら、なおさら対応を急ぐ必要が」

「わかっている。怨恨、と言ったな。この写真を見るまでは俺宛てかと思ったが、もしかして違うのか?」

 これまでに届いた手紙の文面は、パターンこそ違えど内容は同じだった。

「どれも『離婚しろ』というものだっただろう。俺への脅しではなかったのかもしれない」

 離婚しなければ、〝どこ〟に害を加えるつもりなのか。

 もしも俺に対してならば、優陽の写真を送ってくる理由はないように思える。

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