気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「どこもかしこも本当に素晴らしいです。こんなホテルに泊まれたら、一生の思い出になりますね」

「そう思ってもらえたならなによりだ。忘れられない思い出を作ってもらおう、というのがプレザントリゾートのコンセプトだからな」

 彼は私のおもしろみのない感想にも丁寧に反応し、答えてくれる。

 律儀に案内役を務めようとしている、というよりも、単純に会話を楽しんでくれているように見えるのがうれしい。

「いずれは国内のお客様だけでなく、海外からのお客様にも喜んでもらうのが目標だ。海外旅行で特別な思い出を作れたら、もう一度行きたいと思ってもらえるだろう?」

「そうですね。新婚旅行で行った場所に、還暦を迎えてからもう一度行く……なんて話も聞きますし、夢があると思います」

「ああ、それはいいな。今はまだできたばかりで先の話になるが、今後のためにそういうプランも考えておこう」

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