気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
害を加えようとすればできる距離だと思うと、全身の血の気が引いた。
優陽を守るためには、俺とのかかわりがなくなればいい?
魅上の言う通り、ここでの離婚はメリットが大きい。
優陽は俺の事情に巻き込まれて危険な目に遭わずに済むし、俺は馬鹿馬鹿しいいたずらにこれ以上悩まされずにすむ。
それでも、その選択だけは選べない。選びたくない。
頭を抱え、うつむいて息を吐き出す。
「……好きだと、気づいたのに」
優陽に対する想いが楽しく幸せなものばかりではないと知ってから、俺は彼女を今までと同じ目で見られなくなってしまった。
二度目のプレゼントの反応は、一度目とも俺の予想とも違っていた。
『そうしたら今日一日、これをつけてデートできたのに……』
あの瞬間込み上げた想いを言葉にするのは難しい。
ただ、どうしようもなく愛おしくて、胸が張り裂けるかと思った。