気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「許可を得て撮影されたものでないのは間違いない。しかも、最近の写真だった。……俺が贈ったイヤリングを身につけていたからね」

 彼がプレゼントしてくれたイヤリングは大切にしまってある。うれしくて何度か身につけて出かけたけれど、そのどこかの瞬間で写真を撮られたということだろうか。

「犯人は何度も手紙で俺に離婚しろと言ってきた。……もしこのまま離婚せずにいたら、君の身に危険が及ぶかもしれない」

「どうしてそんなことに……」

「立場上、どうしても恨みを買いやすい。そうしないように努力はしてきたつもりだけど、どんなに親切に接しても、悪意があると受け取る人はいるだろう」

 そう言って志信さんは深々と頭を下げた。

「俺は君を巻き込んでばかりだ。……本当に申し訳ない」

「頭を上げて。責めたりしないから」

 再び顔を上げた志信さんが小さく息を吐く。

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