気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 彼が私を求めた理由が愛なら、私が彼を受け入れた理由も愛だ。

 ベッドで熱を分け合っている間、愛される喜びを感じるのと同時に、彼を独り占めする喜びに震えていた。

「それなのに、離婚しようと言ってくれたんだな」

「だってほかに思いつかなかったから……」

 我慢しようと思った気持ちを伝えられたにもかかわらず、声が震える。

「私が志信さんにできることなんて、ほかにない……」

 志信さんの手が、私の手を優しく握り直した。

「そばにいてくれるだけでいいんだ。それ以上望んでいない」

「だけど、それじゃ……」

「そばにいなきゃいけないんだ。俺が幸せになるために」

 指が絡み、指輪をきちんとはめられる。

「君を振り回すのはこれで最後にする。どうか、なにがあっても俺のそばを離れないと誓ってくれ」

「……うん」

 必死の思いで答えた瞬間、勝手に込み上げた涙があふれた。

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