気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 私が思いつくようなことなんてとっくに考えているだろうし、きっと彼が作ったプランは想像よりずっと素晴らしいものなのだろう。

「参考までに、どんな宿泊プランがあったらうれしいと思うか聞かせてもらえないか? 今あるものだと、記念日にシャンパンのプレゼントがあるものや、通常は一部のフロアの利用者しか使えないラウンジの使用が可能になる特別プランがあるんだが」

「うーん……」

 水無月社長がちゃんと話を聞いてくれるから、ついつい私も真剣に考えてしまう。

 必死に頭をこねくり回していると、ふっと笑う気配がした。

「すまない。悩ませてしまったな。そんなつもりじゃなかった」

「たしかに悩みますが、すごく楽しいです。夢みたいなプランでいいなら、理想を詰め込んだものを思いつきそうなんですが……」

「ぜひ聞かせてもらいたいな。君の理想を叶えられるよう、努力するよ」

 ふわっと胸の内が熱くなる。
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