気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「一緒にいたい……」

「俺もだ」

 隣に来た志信さんが私を抱き寄せ、背中を撫でてくれる。

 永遠に手放したくないそのぬくもりに甘え、広い胸に顔を埋めた。

「離婚はしない。俺に、君を守らせてくれ」

 しゃくり上げながら深くうなずき、落ちてきたキスに応える。

 きっと離婚を選んだほうが楽なはずなのに、それでも私を選んでくれた志信さんを、絶対に幸せにしたいと思った。



 泣くだけ泣いてすっきりしたのはいいものの、さっきからずっと目の周りが熱い。

「目が腫れていてもかわいいな」

 想いが通じ合ってうれしいのか、志信さんは笑み崩れっぱなしだった。

 つられて私の頬も緩んでしまうけれど、肝心の問題はなにも解決していない。

「水で冷やしてくる」

「気にしないのに」

 急いで洗面所に向かい、顔を洗ってからやりすぎなくらいまぶたに水を当てる。

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