気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 夜の公園に声が響き、頼りない電灯にとまっていたカラスが驚いて飛んでいく。

 ざあっと風が吹いて木の葉を鳴らすと、不気味な静寂が辺りを包み込んだ。

「やめてほしいなら、それなりの誠意を見せろよ。ホテルならいい場所を取ってやる」

「……そんな人だと思わなかった」

「お偉い社長さんを夢中にさせるんだから、よっぽど具合がいいんだろ?」

 これまでに何度も注がれた下卑た眼差しが、服の上から私の肌を舐め回す。

 おぞましさを覚えて自分の身体を抱きしめ、伸びてきた宗吾くんの手から逃れようとした。

 だけど、その手が私に届くことはなかった。

「うわっ!?」

 宗吾くんの腕がをねじり上げられる。

「い、いてえだろうが! 離せよ!」

 背後から宗吾くんの腕を掴み、厳しい目で睨みつけているのは志信さんだった。

「ずいぶんと好き勝手言ってくれたな。俺の、妻に」

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