気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

「どうしてあんたがここに……！」

「優陽が頼ってくれたからに決まっているだろう」

　その言葉を言い終える前に、志信さんは宗吾くんの足を払って地面に押さえつけた。

「うぎゃっ！」

　あまりにも鮮やかな動きの直後、情けない悲鳴が土の上に落ちる。

「て、てめえ！　こんな真似してどうなるかわかってんのか？　暴力沙汰を起こしたって訴えてやるからな！」

「ふうん」

　志信さんは宗吾くんが身動きを取れないよう、その背中に膝をついて体重をかけた。

　勝った気でいるらしい宗吾くんの耳に顔を寄せたかと思うと、彼を味方だと知っている私ですらぞっとするような冷たい笑みを浮かべる。

「やるからには覚悟するといい。先に俺がお前を消してやる」

「い、痛――」

「二度と優陽に近づかないと言え」

「わかっ、わかった！　もう二度と近づかねえよ！」