気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 私の役目は宗吾くんから証言を引き出すことだったのだけれど、こちらから誘導する必要もないほどあっさり自白をしてくれた。

 そして事前に待機していた志信さんが証言を録音したというわけだ。

「この録音は大切に取っておこう。いつでも使えるように」

「くっ……」

 証拠の存在を知らせる前の宗吾くんの反応は、反省している人間のものではなかった。

 ほとぼりが冷めたら、復讐でもしようと目論んでいたのだろう。

「そういうわけだから、さっき自分が言ったことを忘れないことだ。また優陽に近づいたら、今度は遠慮しない」

「わ……わかったよ」

 服に土をつけたまま、宗吾くんが急ぎ足で逃げていく。

 その姿が見えなくなったところで、ふっと志信さんが笑った。

「優陽」

 なに、と聞く前に抱き締められる。

「帰ろうか。今日はもう疲れただろう?」

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