気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

 社交辞令に決まっているのに、彼の言葉には真実味があった。

「じゃあ、その……最上階のスイートルームが大前提なんです、けど」

「うん。それで?」

「まず、入ったら部屋の中が装飾されているんです。テーブルに花束が置いてあったり、ベッドにバラの花びらが散っていたり」

「なるほど? やはり女性は花に喜ぶものなのか」

「個人差はあると思います。でも、普段もらわないものなので、やっぱり特別感があってうれしいなと」

 答えながら、水無月社長が花束を持った姿を想像する。

 普段着でも絵になりそうだけれど、タキシード姿ならもっと映えるはずだ。

 社長直々に花束をプレゼントするプランがあったら、値段はともかくチェックしてしまうかもしれない。

「それならオリジナルアクセサリーがついてくるプランは? プレミア感もあるし、花と違っていつまでも手もとに残るだろう?」

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