気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
運命は本当にあるのかもしれない
宗吾くんの問題が解決し、平穏な日常が訪れた。
契約関係を終わらせた私たちは、本当の夫婦としてまもなく半年を迎える。
「本当は今日で終わりだったかもしれないんだよね」
プレザントリゾートへ向かう車の中で、隣に座った志信さんに話しかける。
自宅からは結構な距離があるのに、タクシーで移動する辺りが住む世界の違いを感じさせた。
「考えたくもないな。君を妻と呼べない日がくるなんて」
志信さんはそう言って微笑むと、私の胸もとを飾るネックレスを流し見た。
彼が身動きするたびに、私の好きなあの香りが揺らめく。
素敵な一日がもっと素晴らしくなるように、私も特別な日は彼からもらったネックレスとイヤリングをつけると決めた。
おかげで今日は、朝からなんだか気分がいい。