気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
エピローグ
結婚式の日取り決めはかなり難航した。
新しい案件に着手し始めた志信さんが、休日も働くようになったからだ。
仕事の予定と相談しながらようやく日にちを決め、式場を仮押さえして本格的に式の準備を始めようとしたところで、私たちに素敵な知らせが舞い込んだ。
「やっぱり私、妊娠しているみたい」
夕飯を食べる志信さんに向かって言う。
ここ最近、なんだか身体の調子がいつもと違うと思って病院に行ったら、おめでたを告げられた。
お気に入りのポテトサラダを口に運んでいた志信さんが、目を丸くして硬直する。
「それで……このままいくと、式をするタイミングとかぶっちゃいそうなんだよね」
「式は延期にしよう。君と赤ちゃんが最優先だ」
「だけど予定を合わせるためにかなり無理をしたでしょ? 延期してズレるとなったら、また忙しくなるんじゃない?」