気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「別にいい。こんなに幸せなことで予定が変わるなら、いくらでも忙しくなりたい」

 志信さんはうれしそうに言って、とろけるように甘い眼差しを私に向ける。

「父親になる準備をしないといけないな。魅上に聞いておくよ」

「魅上さんって既婚者だったの?」

「ああ、娘さんが三人いる」

「知らなかった……」

 秘書としての姿しか見たことがなかったから、意外に思ってしまった。

「赤ちゃんが大好きだから、俺たちの子を見せたら目を輝かせるだろうな。先輩パパとしてあれこれ言ってきそうだ。面倒くさくなるぞ、これは」

「そうなの? 頼りになりそうだけど」

「語りたがりだから。きっとうるさい」

 そんなことを言っているけれど、志信さんは楽しそうだ。

 もしかしたら魅上さんと共通の話題ができたと知って、喜んでいるのかもしれない。

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