気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
「これは今日のために、親友と買いに行ったものです。特別な人といったら、私には家族か親友くらいしかいないので……」

「それは嘘だろう」

「え?」

 予想していなかった反応に驚いて、つい素で返してしまう。

「君に恋人がいないなんて嘘だ」

 嘘だと言われても、事実は事実である。

「もしいたら、案内をお断りしていました。もちろん水無月社長にそのつもりがないのはわかっていますが、恋人がいるのに異性とふたりで過ごすのはよくないかなと」

「……信じがたいな。見る目のない君の周りの男性陣には感謝しておこう。おかげで君とこんなに楽しい時間を過ごせている」

 思いがけず向けられた笑みは、私の胸に小さな疼きを生み出した。

「水無月社長こそ、素敵な方がいらっしゃるのでは……?」

「いないよ。あまり女性とうまくやれるタイプじゃないんだ」

「それこそ嘘でしょう……?」

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