気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 私がうっかりときめいているとも知らず、観覧車はカラフルなイルミネーションで夜の空を彩っていた。

 ただライトがついているだけでなく、光で模様を作り出したり、花火のような動きを見せたり、プロジェクションマッピングのようになっていて見飽きない。

 大規模なテーマパークはいずれ、ファミリー層やカップル層にとって定番の場所になるのだろう。

「観覧車……乗ってみたいですけど、外から見るほうが好きかもしれません。せっかくきれいなのに、乗ったら見えなくなるのがもったいなくて」

「あの絶景を堪能しないなんて、そっちのほうがもったいない。プレザントリゾートの全景を見られるのは、ホテルの最上階フロアを除けば観覧車だけなのに」

「それを言われると心が揺らぎますね……」

「それに、大庭園はぜひ空から見てもらいたいな」

 含みのある言い方をされて、観覧車と彼とを交互に見る。

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