気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
シンデレラが見た夢
「すごい……」
素晴らしく豪華なリゾート施設――プレザントリゾートの入り口を前に、思わず心の声が漏れていた。
「ほんと、立派だね」
私の言葉に反応したのは高校時代からの親友、三堂円香。私と同じ二十六歳だ。
ミルクティーのようなこっくりした色のミディアムヘアに、ぱっちりとした大きな瞳。くるくる動く表情は感情豊かで、よく他人に共感して喜怒哀楽を表現する。
私が受験に合格した時は自分のことのように喜んでくれたし、彼氏に浮気されていたと相談した時は烈火のごとく怒ってくれた。
今日、私がプレザントリゾートのオープニングセレモニーに参加できるのも彼女のおかげである。
なんと、ここの特別招待チケットを手に入れたらしく、同行者として誘ってくれたのだ。
「円香はこういう場所、来たことある?」