気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 直接会えないなら、オンラインショップで結婚祝いのプレゼントを探すのもいいかもしれない――と思った時、部長がこちらにやって来るのが見えた。

「野瀬さん。今、時間大丈夫ですか?」

「はい」

 なんだろうと思う私に背を向け、彼女は会議室へと歩きだした。

 わざわざ会議室に移動して話すなんて、あまりないことだ。それもこんな急に。

 訝しみながら会議室に入ると、部長がほろ苦い笑みを浮かべて溜息を吐いた。

「本当に言いにくいんだけど……実はうちの会社が吸収合併されることになりました」

「えっ、そうなんですか? もしかして最近、人事部がバタついていたのって」

「やっぱり察する人は出てきちゃうか」

 なにやら嫌な予感を覚える。当たらないことを願い、無意識に両手の指を組んでいた。

「それで、なんですが」

「はい」

「……人員を整理することが決まりました」

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