気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない

　まず、仲良く手を繋いでいるように見える写真。これは階段を下りる際に、エスコートしてもらった時のものだ。

　明らかに盗撮だと思われる角度から撮られている写真の中には、まるで私と水無月社長がキスをしているかのように見えるものもある。

　極めつけはスイートルームに運ばれる際の写真だ。

　あの時、彼は従業員にも会わないよう慎重にルートを決めてスイートルームまで向かった。

　私が恥ずかしがったからかと思ったけれど、この写真の数々を見た今ならわかる。

　あれは下世話な誤解を避けるためのものだったのだ。

　それなのになぜ、彼のもとにこんな写真があるのかがわからない。

「どうしてこんなもの……」

「あの日、招待客の中には報道関係者が大勢いた。審査したつもりだったが、マナーの悪い輩というのはどこからでも潜り込んでくるらしいな」

「……この写真があると、どうなるんですか？」