気高き不動産王は傷心シンデレラへの溺愛を絶やさない
 写真と現在の状況が結びついているのはすぐにわかった。

「最悪の場合、プレザントリゾートの評判に傷がつきますね」

 答えたのは水無月社長ではなく、運転している男性だった。

 さっき社長を急かした人物だ。

 さっぱりとした短髪からはスポーティーな印象を受けるけれど、理知的な眼差しは研究者のようにも感じさせる。

「魅(み)上(かみ)、そんな言い方はやめてくれ。……失礼な奴ですまない。俺の秘書だ」

 なるほどとうなずいておく。

「社長の説明では重大さが伝わらないでしょう」

 赤信号で車が止まると、魅上さんはバックミラー越しに私を見た。

「もし、セレモニーの当日に社長が女性を連れ込んで密会していたと報道されたら? 招待客のひとりに手を出した、なんて見出しも注目を浴びそうですね。とにかく、そんなふうにおもしろおかしく騒ぎ立てられたら、プレザントリゾートのイメージは最悪です」

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